最後の時間の始まり



私ね。
ずっと忘れてないんだよ。

2年前の春に知った、あの優しさも。

夏に知った、男の子の力強さも。

秋に知った、逞しさも。

冬に知った、気さくさも。

全部、全部。

忘れられない、大切な、大切な、私の宝物なんだよ。



あとで知った真実。

2年前の夏。
熱中症を起こした私の近くに偶然いた君は。
先生方が担架を持ってくるまで、私を支え続けて、声を掛け続けてくれたらしいね。
君が支えてくれず、あのまま倒れていたら、私は頭から落ちて、きっと危なかったって。

その話を聞いた瞬間、ゾッとした。

君がいなければ、今の私はなかったかもしれない。

君には感謝しても、しきれないね。