夏。

外での体育の授業中。

熱中症でフラフラだった私は。
倒れる直前に誰かの腕が支えてくれていることに気付くのがやっとだった。

保健室のベッドで目を覚ますと。
ベッド脇に、椅子に座った男の子がいることが分かった。

下を向いていたのに。
男の子って、みんな同じような見た目してるなって思ってたのに。

なのに分かった。

あなただって。


体を少し起こすと。
ベッドの軋む音に反応して、あなたは顔を上げた。

心配そうな顔のあと、安堵の表情を見せて。
君は私の頭を撫でた。


『無事で良かった』


その言動に酷く動揺させられたこと、君は知らないんだろうね。

危うく、無事じゃなくなるところだったんだよ。私。

体中が熱くて、苦しくなった。


夏。

胸の苦しさまでもを熱中症のせいにして、私は自分の気持ちを誤魔化した。