「お客さん、ここ訳あり物件だけど大丈夫?」
ハロー店の小太りの店員さんは言ってきた。
「大丈夫ですよ。僕、霊感なんてないですし、
霊なんてもともと信じてないんで。」
そう言うと、小太りの店員さんは安心したような
感じで、「では」と僕の気持ちが変わるまえに
急いでトラックでその物件まで送ってくれた。見た感じは高級マンションだ。
そう思ってしまったせいか、マンションから出てくる人も高級そうな人に見えた。
僕の紹介された部屋には見てわかるようにお札が
貼ってあった。
ここまで堂々と貼っていると逆に清々しい。
僕が部屋に入ろうとすると、店員さんが清めの塩ですと、塩をかけてきた。
本当に彼は僕にこの部屋を勧める気があるのだろうか。でも霊を信じてない僕からすると、どうでもよかった。
入ってみると、頭の中で考えていた如何にも訳あり物件という感じではなく、とても綺麗でここで本当に何かあったのだろうかと、考えてしまうほどだった。
これで他の部屋の半額というのだからかなりお得な部屋だった。
僕は思わず大きな声で「ここに決めた!」と言ってしまった。
店員さんは僕の顔を見て安心した様だった。
その後すぐに僕は家から引越した。
憧れの1人暮しが出来るようになった。