P.S 母さん、愛しています。

「はー君、またお母さんからLINEきたんだね」


放課後、部活を終えて帰ろうとしてる俺に声をかけてきたのは莉央。

同い年の幼馴染の莉央はバレー部。

下手っぴで万年補欠のくせに、一度もやめようと思ったことがないらしい。



「何で分かるんだ?」



ガシャン…とチャリの鍵を外して聞いた。

俺たちは別に付き合ってる訳じゃねぇ。

単に家が隣同士で、毎日のように一緒に行き帰りしてるだけだ。



「そりゃ分かるよ。サーブの練習ばっかしてたもん」


見てたのか…と呆れる。


「はー君、お母さんからのLINE入ると、いつもサーブの練習ばっかしてるもんね」


今日は何百回打った?…と重ねる。

ほっとけ。



「カンケーねぇだろ」

「あるよ!」

「何で!」

「だって、お隣さんで幼馴染だし」

「単に隣の家に住んで、ちっせー頃から顔見てるってだけだろ」

「でも!お母さんのこと話せるの私だけだって言ってたじゃん!」

「そりゃ……そうだけどさ……」



ばあちゃんもおいちゃんも俺の母親の話はしない。

作家になると言って出て行ったあの日以来、まるで死んでしまった者のように扱ってる。



母親が帰ってこないのも悪い。

10年前のように、頭を下げて戻って来ればいいんだ。




「今回は何て言ってきたの?」


莉央の質問は続く。