そう決めたはずなのに、 勇気なんか出なかった。 彼は目も合わせてくれない。 「おはよう」の挨拶もない。 ーーーせめて友だちに戻れたらな... 「ケンカしたの?」 「目腫れてるよ」 友だちは優しく声をかけてくれたが、 「ケンカしちゃった」 と嘘をついた。 それは、まだ別れたことを受け入れられない 弱い心がついた嘘だ。 自分に言い聞かせたかったのかもしれない。 ちゃんと話せばまた元通りになれる。