「ねぇ、桜………
覚えてる?
私と初めてケンカしたときのこと……
ほら、4歳の誕生日プレゼントに熊のぬいぐるみをもらったじゃない
私が白の熊で、桜が茶色の熊
でも、桜は白い熊がいいみたいで私のと交換してと泣いて頼んできたよね?
私も白い熊が好きだったから、交換はしなかったんだけど…………」
覚えてる
茶色の熊より、白い熊の方が可愛かったから……
椿の熊が欲しくなり、強引に奪った
でも、椿はそんな私に怒り狂い……
4歳では考えられないことをした
いつものように、私が白い熊のぬいぐるみと遊んでいたら……
『痛い……っ!』
ぬいぐるみに針が刺さっていて、私は指に針が刺さり血が出た
両親は、このぬいぐるみのメーカーにすぐに電話して苦情を言っていたが……
実際、ぬいぐるみのメーカーは関係なかった
それに気付いたのは、両親がクレームの電話を入れているときだ
いつまでも泣いてる私に椿は優しく抱きしめて頭を撫でると……
『お姉ちゃんの物に手を出すからいけないんだよ?
次、こんなことしたら……
針だけじゃ済まないからね……?』
そう言ってきたのだ
4歳では考えられない言葉や発想だった
まだこのとき、幼かった私は……
お姉ちゃんがやったのではなく、神様が私に罰を与えたのだと馬鹿な考えをしていた
でも、大きくなって姉の狂気的思考が
どんどん理解出来るようになってきた
「私、あのときちゃんと言ったよね………?
私の物に手を出すなって……」
「だから、なんなの?
私を殺す気?」
「フフッ。殺すなんてとんでもない
私たち、姉弟じゃない
殺すなんてことはしないわよ」
殺すことはしないって………?
なら、何故私をこんな場所に連れて来たのよ
「ただね………
ちょっと痛い目に合ってもらわないと気が済まないから……
少しだけ付き合ってね…?」
その言葉を聞いた瞬間……
首に鋭い痛みが走り、私はその場に倒れた
「つ、椿………っ」
「おやすみ、桜……」
私は、そのまま意識を失った

