葵と出会ったのは、ちょうど1年前くらいだった。


道の端でヤンキー座りしている男の子がいた。


手元は忙しなく動いている。


そーっと、覗くと仔犬が寝転んでいた。


仔犬のお腹は上下が激しく弱っているようだった。


「大丈夫ですか!?」


「あぁ!?」


驚いたように振り向いた後、私を睨み付けた。


私はそれどころじゃなくて仔犬のことで必死だった。


「病院連れて行きましょう!」


ブレザーを脱いで仔犬を包み優しく抱き上げた。


急に動かしたからか、仔犬は嘔吐(えず)いている。


「ごめんね…っ、出しちゃって大丈夫だよっ。すぐ病院に連れて行くからね…っ」