私はあなたに恋をした

「やば!見つかった!」


サッとしゃがみ込む煉に茜は校庭を見ると頬を染めた。
こっちをジッと見ている大輔と数秒間も目が合ってしまう。
大輔は大きく息を吸い込むと茜のいる窓へ向けて叫んだ。



「れぇーーん!!てめえさっさと部活に来い!!」



茜宛てではないその叫び声にがっくしと肩を下げた。
見つめられたと思ったその視線は茜ではなくその教室に隠れた煉に向けられていた。



「煉、呼ばれてるよ」




「んー、俺今日はちょっと犬の散歩がさ、あれだからさ」



「犬なんて飼ってないでしょ。早く行かないとまたペナルティになっちゃうんじゃないの?」



「いいのいいの。たまにはね、こうやって見学することも必要だからね」



それならいいけど、と茜は再び窓の外に視線を戻す。
いつの間にか見えなくなってしまった大輔の姿に、残念だとため息を零す茜は煉に腕を引っ張られた。