放課後の教室、誰も居なくなるまで居残って春日茜は窓の外を眺めた。
スポーツに力を入れている柊高校の異常なまでにだだっ広い校庭には様々な部活が活動している。
茜のお目当ての人物は今日も大きな体でボールを追いかけていた。



「まぁた見てる。飽きないねぇ」



「煉・・・」



幼馴染の佐伯煉は放課後になる度、ふらふらと現れては茜に声をかけた。
茜と同じように窓の外を見て、元気よくボールを追いかけるその姿を目で追ってから茜に視線を戻す。



「そんなに好きならマネージャーにでもなりなよ。コーチに頼んであげるけど？」



「いい、私不器用だから。それにここからの方が見やすいし」



「ベンチの方が見やすいと思うけどなぁ」



「ベンチじゃジッと見てたら不振がられるからいいの」



そういうものですかと、煉は頬を掻いていると校庭にいる大輔とばっちし目が合った。