狭い道を進んで、

ようやく私は丘にたどり着いた。

懐かしいその丘を登ると、

誰かがいるのがわかった。


――春の心地よい柔らかな風が、

私の茶色の髪を優しく揺らした。


そこにいたのは。

あの日とあまり変わらない、彼の姿。

黒髪で、背が高い、彼…琉生。


会えなかった3年分の思いが、

涙となって私の目からこぼれ落ちた。