………









………?







2週間に1回やるかやらないか位で開く家族会議








なんだか今日は空気が重たい…




「お父さん、クビになったの?」






重々しい空気に耐えられなくなり私が口を開く







「いや、逆だ。辞めてきたんだ」








「え、なんで」







高校生になって家族会議に滅多に顔を出さないお兄ちゃんが今日は空気を察し、携帯すら持っていない







「宝くじが当たった」


「え、それだけで辞めたの?」





「違うのよ、いつもとは」






ずっと下を向いたいたお母さんが涙声で言う





「10億なんだ」










「冗談がわかり易過ぎる!冗談言うならもっとさ、現実味のある冗談言って〜」







隣にいてきちんと座ってたお兄ちゃんが、姿勢を崩してあぐらをかく






「ほんとだよ!もー、テレビつけるね」




私は毎週楽しみにしてるテレビを15分遅れで見ることにした





「違うんだ!!」




いつも大声を出さない優しいお父さんが始めて真剣、と言うより恐い顔で私達を見る



私もとっさに、付けたテレビを消した








「ほん…と?」



お兄ちゃんはお父さんの顔を伺っていた


コクん……




ゆっくりだったけど、確実にお父さんは首を縦に動かした


「そう、なん、だ」



いきなり10億当たったっていう感覚も分からないし、10億当たったならもっと喜ぶべきなんじゃないのか?という訳の分からない気持ちがごちゃごちゃした







「お母さんと相談してお金の使い道を決めた…
全てをお父さんの新しい会社に使った」





そう言ってお父さんは頭を下げる




「え、新しい会社?
全部使ったの?」




突然、色々な事が起きて頭が付いていかない




「俺は、ずっと自分の会社を持つのが夢だった
ごめんな…俺の夢を叶えさせてくれ!」













もう、完全に頭がついていかないから
ただ頷いた







「由奈、寝るか」







多分お兄ちゃんも私と一緒で
ごちゃごちゃしてたんだと思う



その日はすぐ寝れた