文化祭が始まった。


流れ込む人


中学生っぽい人や他校から来た人、親達がたくさん来る。


始まったと言っても僕は特にすることがないのでどこかでのんびりしてようかと思う。


「あ、草薙くん」


あまり人が来なさそうな廊下でぼーっと座っていると誰かに話しかけられた。


「ん?ああ、小川?」


突然話しかけてきたのはクラスの女子の小川。


この前もこんな感じで話しかけられたな

なんかデジャヴ


「草薙くん、何してるの?」


言いながら小川が僕の隣に座る。


「特にすることないからここにいようかなって
ほら、ここあんま人来ないだろ?」


「あぁ、確かにね
ここならゆっくり出来そう」


「小川はどうしたんだ?」


「私も草薙くんと同じかな~

特にすることもないし、一緒に回る人もいないから、1人でブラブラしてたの

そしたら誰もいなさそうなところに人影が見えるじゃない?

気になってきてみたら、草薙くんがいたの」


いたずらっ子みたいな笑顔を浮かべて小川がそう言った。


「なるほど」


「草薙くん、誰とも周りつもりないなら私と回らない?」


え、


「あれ、もしかして草薙くん彼女とかいた!?

だったら無理だね!ごめん!!じゃあっ!」


何を勘違いしたのか、小川は慌てて立ち去ろうとして勢いよく立ち上がった。


「ちょ、待て、勘違いするなって
僕、彼女いないから」


「あ、そうなの。

てか、草薙くん一人称 [僕] なんだね~
なんか意外だなぁ~」


「そうか?」


「うん、この年になると結構みんな [俺] になるよ?」


「確かにそうかも」


「そうだよ~
だから珍しいなって」


妙にツボに入ったらしく、小川はしばらく腹を抱えて笑ってた


そんなに面白いかぁ?


あんまり同級生と話す機会が無かったから考えたことなかったな。


「まぁ、僕はこのままでいいや」


「そう?まぁ私もそっちの方が草薙くんらしいと思うよ」


笑顔で小川はそう言った。


「じゃあ草薙くん、改めてだけど一緒に回らない?」


んー、まぁ結構話すの楽しかったし、
鈴菜へのお土産話にもなるからな。


「いいよ、行こうか」


よいしょ、と言いながら立ち上がって二人で並んで歩き出した。