「……って事があってな」


学校が終わって鈴菜に今日の事を話した。


「なるほどね~

だから最近柊也難しい顔してたんだ」


鈴菜が何かに納得したように頷く。


「そんな顔してたか?」


「してたしてた
何考えてんだろーって気になってた」


「そうか
ごめんなお見舞いなのにそんな顔してて
自覚はなかったんだけど……」


「ははっ
しゃーないしゃーない
たまにはそんなこともあるよ
元気出せっ」


鈴菜は笑顔でそう言った。


「にしてもどうするの?
白紙のまま提出なんて無理でしょ?」


「そうなんだよなぁ」


「うーん

柊也に向いてる職業か……」


鈴菜難しい顔して考える。


「んーとね
柊也、成績は中の上くらいでしょ

ちょっと頑張って医者とか?」


「……なんでそんな難しそうなのなんだよ……」



ため息をついて反論する。


僕に医者なんて無理に決まってるじゃないか。



「テキトーじゃないよ?
もちろん意味があって言ってるから」



少し胸を張って鈴菜は言った。


「なんだよそれ」


僕は笑いながら受け流す。


「だってさ私に毎日お見舞い来てるんだよ?」


「…は?」


予想外の言葉に驚く


「意味がわからないんだが……」


「私ってさ最近よく思うんだけど
日に日に痩せていってる気がするんだよね

気のせいだったら嬉しいんだけどね」


「痩せていってるどうこうは置いといて
それがどうかしたのか?」


「日に日に痩せていく人を見るのは辛くない?
柊也は気にしてないのかもなのかもしれないけどさ

辛いと思うんだ
自分自身でさえもだんだん鏡で自分の姿を見たくなくなってきてるのに」


よくわからない


そんな僕の気持ちに気づいたのか

鈴菜は少し呆れたような仕草をして


「日に日に良くない方に変わっていく人を変わらずにサポート出来るから!

私はそれに助けられてる
嬉しくなるんだ
ここにいていいよって言ってもらえてるみたいで」



力を込めた言い方で鈴菜は言った。


芯のある言い方だった。



思いを僕にぶつけていた。