*柊也side*

「よぉぉっし
最初はアマ!」


「はぁ?」


いきなり叫び出した鈴菜を


変なものを見るような目で見つめる僕。


「アマってなんだよ…」


「花だよ」


「花かよっ
花なら花って最初から言えよなぁ」


「別にどうせ解説すんだからいーじゃん」


「解説する気はあったんだな」


「もっちろん!

アマは青系の色の花らしい

花言葉は“感謝”

書きやすそうだから最初にやってみようと思ってね」


「ふーん
って“らしい”って解説に使っていいのか」


「ま、まぁそこは深く考えないようにしよう
...うん!

にしても柊也、ちゃんと覚えておいてね

渡すのギリギリになって私が説明できなくなっちゃったら

代わりで柊也に解説してもらわなきゃいけないんだから」




当たり前の事のようにして言った鈴菜の言葉に


心臓が鳴る。



ドクン



常になっているはずの心臓の音が


この瞬間だけ音が大きく聞こえた。


鈴菜は……


そんな事を思っていたのか。



「大丈夫だよ

鈴菜ならそれまでに完成させることができる」



ちょっとした動揺を隠すために言った言葉


それを聞いた鈴菜は少しまばたきしてから



「ふふん!

鈴菜様にまっかせなさい!」


と言った。


輝く笑顔で


初めて鈴菜と会った時の太陽の光が


一瞬見えた気がして



「懐かしいな」


と、思わず口に出してた。


「ん?
どうかした?」


不思議そうに僕の顔をのぞき込む鈴菜


「いや、何でもない」


そういった僕に対し鈴菜は


「ふむ
ならよろしい」


と言って微笑んだ。


とても綺麗な微笑みだった。