カチン、カチンというホッチキスの音が静かな教室に鳴り響く。


ただひたすら3種類のプリントを1枚ずつ取って、ホッチキスで留める。


気付けば、すでに5時半。


ようやく終わったものの、ただ悲しみしかない。


特盛りチョコバナナクレープ、特盛りチョコバナナクレープ、特盛りチョコバナナクレープ、特盛りチョコバナナクレープ……


食べてみたかった……


そんな悲しみと同時に怒りが湧いてくる。


あんの、ハゲクソジジィがぁぁぁぁぁっ!!!!!!


とりあえずホッチキスで留めたプリントを行かなければ……。


重たいプリントを持って職員室に向かう。


まったく優等生を何だと思っているのか。


あのハゲクソジジィは文句の言わない便利な奴ぐらいにしか思ってないんじゃないか……。


なんかムカついてきた。


いや、もともとムカついているのだが。


そんなことを思っている間に、職員室についた。



「失礼します。」



安田先生のところへ持っていく。


安田先生の机はここのはずだが、いない。


他の先生に聞いてみよ。


ちょうど近くに数学の玲子先生がいた。



「玲子先生、安田先生どちらにいらっしゃるかご存知ですか?」


「たぶんタバコを吸いに行ったんじゃないかしら?あの先生タバコ吸いに行くと30分は戻ってこないこともしばしばあるから。」



ハゲクソジジィはのんきに長々とタバコを吸いに行ったわけか。


まったく……。



「あ、もしかして安田先生にそのホッチキス留め任されたの?おつかれさま。適当に安田先生の机に置いといて。安田先生が戻ってこられたら、持ってきていたって伝えとくわ。」


「ありがとうございます。ではお願い致します。」



安田先生の机にプリントを置いた。


玲子先生に感謝の気持ちを込めて、少し深めに会釈してから職員室を出た。