とうとう放課後となった。


今日は駅前のクレープのお店が期間限定の特盛りチョコバナナクレープを売っていたはずだ。


昨日はゆっくり行ったら、売り切れになっていた。


だから5時くらいまでに行かなければならない。


今は4時半、あと30分だ。


ちょっと急げば間に合うかな?


とりあえず早く行こう。


そう思って席を立った時だった。



「ああ、そうだ!如月!ちょっとお願いがあるんだが……」



え!?


担任の安田先生が声をかけてきた。


もう定年間近のおじさんでつるつるの頭に一本だけ髪が残っている。


まるでサザ○さんの磯○波平みたいだ。


それより今日であのクレープは終わりだ!


期間限定だから、もう二度と売られることはないだろう。


このハゲジジイ!!



「あの、今日は早く帰らなければならないのですが……」



安田先生に訴えかける。



「いやいやそんなにかからんから、頼むよ。」



走れば10分でつくはず。


だったら少しくらいは大丈夫だろう。




























そう思ったのが間違いだった。


考えてみればあの安田先生の頼みごとが今までちょっとだった試しは一回もなかった。