お菓子をくれた女の子を見ると、褒めてもらえるとでも思っているのか、まだキラキラした目をしていた。
「大変おいしいと思います。しその葉や梅干しを入れるという発想は素晴らしいですね。」
うん、ほんとにその発想は“ある意味”素晴らしいと思う。
「本当ですか!?ありがとうございます!!そんなに喜んでもらえたなら、また明日も作ってきますね!」
よっぽど褒められたのが嬉しかったらしい。
また明日も作ってくるという。
……また明日も?
そ、それは阻止しなければ!!
明日もこんなものを食べるなんて無理だ!!
「ありがとうございます。ですが、明日もだなんて悪いですので、結構ですよ。」
うまく断れただろうか……?
「いえいえ!そんな悪いだなんて思わないでください!如月さんがおいしいと言ってくれたのですから、作ってきます!」
やばい!!これは何を言っても作ってくるパターンだ!!
せめて普通のクッキーを作ってきてくれ!
「でしたらシンプルなもので結構ですよ。」
「これもシンプルだと思いますが……」
てめーのシンプルって一体なんなんだ!?
これはシンプルって言わないよ!!
「そうですね……。でしたら!クッキーに米粉を入れてみてはどうでしょうか?しその葉や梅干しとうまく調和して、よりおいしくなると思いますよ!」
私にしてはナイスな提案だと思う。
そしたらこの女の子も笑ってうなずいてくれた。
「はい!!ではそうしてみます!!」
「楽しみに待っています。えっと……」
あんまりしゃべったことないから、名前を覚えていない……。
えっと………
「1年の朝比奈 里奈と申します!」
「朝比奈さんですね。」
一つ下の後輩だったのか……。
「里奈でいいですよ!」
なんとも馴れ馴れしい。
まあでも呼び名くらいは別に気にしないし。
「では里奈さん。」
「はい!じゃあまた明日!」
そう言って手を振りながら去っていった。
案外悪い子ではないのかもしれない。
あのふわふわとした少し幼い感じ、ただの天然だったりして。
それより早く教室に行かなきゃ!
急いで教室へと向かった。

