「おまえの望みを叶えるくらいの金ならあるって話だ」
「………は?」
「なにがしたい、なにが欲しい。
おまえの最優先事項は、なんだ?」
「俺の、最優先…」
あたしの言葉を繰り返し、俯く男。
「…借金を、 返したい」
「借金な。
どこに借りた?」
ニヤリと笑って尋ねる。
大方サラ金だろうが利子やらが凄そうだ。
無駄な分は省きたいからな、サラ金に関しては汚い手を使わせてもらおう。
「佐伯原会って借用書に書いてあった」
佐伯原か…。
まためんどくせぇとこに借りてんな…。
「借用書は今持ってんのか?」
「…これ」
男は小さくそう言ってぼろぼろの服のポケットからくしゃくしゃになった紙を引っ張り出した。
「利子含め1000万…さすが佐伯原、えげつねぇな」
クックッと笑いながら借用書を眺める。

