ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ


旧校舎の誰にも使われていないこの図書室。
知っている者は極小数。

しかしこの本の量と木の匂いに惹かれ俺はずっと通っていた。



「さてと、次は何読もうかな。」



そんなことを言いながら、前の本を元の位置に戻し、次に読む本を選んでいた。




ｶﾀｯ




突然物音がした。

気になりその方向に足を運んでみると、郷愁紗栄子が寝ていた。





「あ…」


こんな所でしかも窓空きっぱなし。


「風邪ひきますよ?」


何を言っても反応がない。


余程疲れたんだろうなと思った



はぁ~…


っとため息をつきながら自分の着ていたブレザーを彼女の肩に掛けた。




彼女の周りには漫画が散らばっていた。




「こんなところで読んでるのか…」




彼女が読んでいた漫画をﾊﾟﾗﾊﾟﾗと捲ってみた。



「ヤッパリ二次元の良さは分からないな…」


そんなことを呟いていたら彼女が寝返りをうった





目を瞑っているその姿は童話に出てきそうなお姫様のように美しかった。




いつも開かれているガラス玉の瞳は長いまつげによって閉じられていた。





長く綺麗な髪はぷるるんとした唇にかかっていた。




唇にかかった絹のような髪の毛をすくい上げ


「そんな姿してたら、ほかの男に何されても文句言えないですよ。」









無防備すぎる彼女…









そばにいて守ってやるのも悪くはないと思った