隣人トラブルにご注意を

家の中からは物音が響いているのだが、いっこうに扉が開く気配を感じない。
居留守を使っているつもりなのだろうか。
私はしぶしぶ家に帰り、家で芦川さんのことを調べることにした。
しかし、その前に真山さんともう一度話がしたかった。
私はマンションの入り口に戻った。

「真山さん・・・?」
私は後ろを向いている真山さんに声をかけた。
でも、相変わらず後ろを向いたままだ。
さっきの芦川さんのこともあって、私は少しイライラしていた。
「真山さん!」
私はついカッとなり、大声で叫ぶ。
すると、真山さんは首を包丁で切り始めた。
血飛沫が飛ぶ。
ふと、その血が私の口の中に入った。
口中に鉄の味が広がる。
「真山さん!やめてください!」
騒ぎに気付いた他の住民たちは、救急車を呼ぶ者もいたが、大抵は私達を取り囲み、写真や動画を撮る、すなわち野次馬と化していた。

私は何度も真山さんを止めようとした。
しかし、その度に包丁を私に向けてくるので、とてもじゃないが太刀打ちできるものではなかった。
真山さんはふいに首を切り落とした。
痛かったのか、首だけの真山さんは涙を流していた。
でも、その口は違った。
とてつもなく口角が上がっていたのだ。
まるで、今楽しいことをしています、とでも言うような。

真山さんはしばらく体だけピクピクと痙攣をしていたが、救急車が来る頃には死亡していた。
そして、真山さんを調べに来たのであろう警察も来ていた。

警察は私を見ると、署までご同行願います、と言って、私の腕を掴んだ。
細い私の腕は、今にも折れそうだ。
だが、下手に抵抗したらもっと強く掴まれて本当に折れてしまう。
わたしはそう判断し、警察署に行った。

真山さんの血痕が私の服や肌についていたため、犯人と勘違いされてしまったが、なんとか誤解を解くことができた。
私はすぐに家に帰り、引き続き芦川さんについて調べることにした。