紫色の水溜まり。




「...ありがとう」

顔を赤らめる彼につられて、私まで頬が熱くなるのを感じながら、お礼を言った。

「私も、七瀬くんの下の名前、
 良いなって、思うよ」

「....え」


「私ね、雨って嫌いなんだ」

急な私の言葉に彼は、不思議そうな顔をする


「...でも、七瀬"幸雨-コウ-"って、幸せの雨って書くでしょ?だから、幸せの雨だったら、良いなぁって」


そう言えば、彼は瞬きを数回したあと、
"じゃあ"と微笑む彼はあたたかい。

「これから俺のこと、幸雨って呼んでよ
 それで、俺も、紫陽って呼んでも良い?」

こんなに優しく笑う彼に、頷く他ない。