「あ、あと紫陽花は、紫陽花でも色が違うと、意味も違うんだよね。確か、紫は、謙虚とかだったかな。」
「...そうなんだ。でも、その人は私のこと、そんなふうには思ってなかったと思う。」
そう言った私の声は、ひどく情けない声だ。
けれど彼は優しい表情で、"でもさ"と言う。
「"紫陽花みたい"って、花言葉とかそんなんじゃなかったかもよ?」
「.......え?」
「その人は、紫陽花がただ単純に、好きだったのかもしれないし。雰囲気だったり、なんとなく、だったり。その言葉の本当の意味は、きっとその人しか解らないけどさ。」
そう言って、笑う彼は、クラスの中心にいる時の、その姿をしていた。


