「おのれ、光秀・・・」
背筋が凍るような恐ろしい声色。
その声を発するのは、着物姿の男。
袴を穿いていない着流しっていうのかな、そんな感じの着物で。
足元は草履を履いて、頭はざっくばらんに高い位置で一つにくくってる。
私と同じくらいか少し上くらいの歳に見えるその不気味な人。
その人は、腰に刀を差していた。
「だ、だ、誰・・・」
パクパクと口を開け震える手で指を指す。
いつの間に現れたの。
さっきまでこんな人いなかったのに。
「どうしたの、すず!?」
心配そうに私を覗き込むやよい。
どうしたって、見てよ。
変な人!
「へ、変質者」
「変質者!?どこ!?」
やよいがきょろきょろと辺りを見渡す。
え、なんで・・・?
見えてない・・・?


