「さあ・・・。ユーレイも信長さまが初めてです」
「そうか」
信長さまは、なにやら考え込んでしまった。
「俺は、昔から目に見えぬものは信じておらん」
「え」
「神も仏も。その幽霊とやらもだ」
「はぁ・・・」
「まぁ、実際自分がそうなると幽霊だけは信じんわけにはいかんがな」
現実主義者なのかしら。
昔の人の方が信心深いのかと思ってた。
「だが、唯一その化け物だけは見えていたから。存在することを知っていたから、信じざるを得んかった」
「化け物・・・?」
「妖とでもいうのか・・・。それは決まって人の後ろにいた。憑りつくようにそこに」
まるで物語を語るような口調。
夢物語のよう。
でも、それは真実のように語られる。


