「でも、これで貴様には触れられることが分かったな」
「そうですね」
触れる、じゃなくて小突く、だけどね。
「その刀は・・・」
「ああ、この刀は“ホクト”という妖刀だ。死んだときに持っていたからな。俺と同じような霊体なのだろう」
「刀、で霊体・・・。そんな事ってあるんだ」
「妖刀は、摩訶不思議な力が宿っている。だからであろうな。現に、他に持っていた普通の刀は持っていない」
信長さまがその刀を見る瞳が少し切なげに揺れる。
それが霊体ってことは、もしかしたらその本物がどこかにあるかもしれないのかな。
「この世に戦はあるのか?」
「戦・・・?ああ、もうないですよ。信長さまのいた時代に比べるとずいぶん平和な世になってると思います」
「そうか・・・」
少し、ホッとしたような表情を浮かべた。
信長さまって、結構表情豊かなのかな。
ずっと仏頂面ばっかだったけど。


