「このハンカチ、返さなきゃって思ってたんだけど、あれ以来その場所でも会えなかったし、名前も学校もわからなかったから・・・。でも、まさか瀬名くんだったとは、驚いたよ」
「・・・覚えてない」
「そ、っか。そうだよね。もう5年くらい前の事だし、覚えてないのも仕方ないよ」
5年・・・。
5年の年月が、瀬名くんを変えたのだろうか。
本当に、あの時の彼が瀬名くんだったとして。
あの頃の瀬名くんは、当たり前に笑って、優しい人だったのなら。
どうして今は、こんなにも殻に閉じこもって、一匹狼でいるのかな。
それとも、私の記憶がいい思い出として改変されてるとか・・・?
でも、そんなはず・・・。
顔とか声とか、覚えてないけど、笑顔が素敵だったっていう感覚はずっと覚えてた。
見ず知らずの私を助けてくれる優しさは確かにあった。
そういう優しさが、今はないとは言わないけど。
「これ、大事なものなんじゃないの?返すね。ありがとう」
「・・・っ」
差し出したハンカチを、瀬名くんは苦しそうに見つめる。
その表情の理由は?
聞いたら教えてくれる?


