何度、生まれ変わっても~幕末の時代~

男は刀をいつでも抜けるように構えていた。

「へぇ~。やる? 俺には勝てないだろうけど」

私にケンカを売るなんて命知らずだなぁ。

「何構えてるんですかぁ? 大好きなところを血で染めるわけないじゃないですか」

はぁ?

コイツなんかムカつく。

ん?

私がイラつかせようと挑発したのに立場逆転した?

「隣いいですか?」

私が答える前に男が私の隣に腰をかけた。

まだ何も言ってないんですけど(怒)。

まっいいか。

私と男は、しばらくの間同じ景色を見ていた。

まだ京に来てから十日ぐらいしかたってないのに、長い間京にいた気分だ。

「綺麗ですよね。これを見ていると不思議と心が落ち着くんです」

その気持分からなくもない。

私も男と同じだからだ。

「僕は、沖田総司と言います。君の名前は?」

「俺は……」

何故か私は名前を言いたくなかった。

自分でも理由がわからない。

だけど、言いたくなかった。

「どうしました?」

男と……沖田と前に一度会ったことある気がする。

面影がアイツに似ていたから……。