一八六〇年……。

あの事件が起こった年だ。

村は火に包まれ、地には何人もの骸が転がっていた。

「潤弥! 赤夜を連れて逃げなさい!」

赤夜の母、華(ハナ)が言った。

「母上はどうなさるのですか!?」

潤弥が叫びながら言った。

「貴方達まで犠牲にさせるわけにはいかないのよ!」

「母上! 私は母上と共に戦います!」

赤夜は刀を構えながら言った。

「今貴方達のやるべき事はここではないところへ行くことです! 早く行きなさい!」

「嫌です!! 私は残ります!!」

赤夜は聞く耳を持たずその場から動かなかった。