声をかけられた。

だけど振り返らなくっても気配や声で分かる。

その人物はとしぞーだ。

「別に……? 何処に行こうが俺の勝手だろ……」

出ようとしたがとしぞーに肩を掴まれた。

「お前まさか……脱走するんじゃないだろうな……?」

さすがだな。

「ここにいるのが嫌になった……。だから出ていく」

「何故だ……? 何かあったのか……?」

もうこれ以上はきかないでよ……。

出ていくのが辛くなる……。

「お前には関係ない……。俺の意思で出ていくだけだ……」

「脱走は切腹だ」

知ってるよ……。

それでも、私はここにいては行けない……。

約束があるし……。

私達はもう……きっと……。

試衛館にいた時には戻れない。