「さ、佐倉?」 「えっ、あ…」 「なんで泣いてるの?」 「っ」 下駄箱まで来た俺の目に映ったのは、苦しそうに目に涙を溜めて、零れ落ちるのを我慢してる佐倉。 「泣いてない…っ」 その言葉を肯定することが俺には出来なくて、彼女が泣いていることを認めないことを認めてあげられない。 「場所移動しようか」 帰宅する生徒がチラホラいるここで話すにはあまりにも空気が悪すぎるから、俺は佐倉をベンチの置いてある中庭へと連れてきた。