【完】音にならない“好き”をキミだけに。



いつもは気にならない沈黙も、今日は少しばかり気になる。

話しを切り出せ、俺!!


「あのさ…!」

「あれ?楓生だよね!?」

声がした方を見たら、女の子が1人立っていた。

「えっ、菫(すみれ)ちゃん!?」

「うわ〜!やっぱり、楓生だ!久しぶり」

ガックリとする俺の横を通り過ぎ、佐倉の前に立つ女の子。

……俺の勇気を返して。

「本当、久しぶり!元気だった?」

「元気だったよ!去年の夏に会ってからそれっきりだよね?」

「そうそう!また連絡しようかなって思ってたの」

佐倉と菫ちゃんという女の子は、俺がいることを忘れているように盛り上がる。

気付いてもらえるまでジッとしております。