【完】音にならない“好き”をキミだけに。






「しっかりしなさいよ」

「分かってるよ」


授業が全て終わり帰る準備をしていた俺のところに真壁が来て言った。

ただ、デートに誘うだけ。

そんな緊張することでもないけど、緊張する。

……誘うの遅くて予定入れてたら?

あー、ダメだ。

悪い事考え始めたら止まんねえ。


「加賀谷くん!」

俺を現実から遠ざけるのも佐倉で、引き戻すのも佐倉だ。


「あ、帰るか……」

「うん。帰ろう」


最後に真壁にギロっと睨まれた気がした。

……気がしただけでありますように。