【完】音にならない“好き”をキミだけに。






「よっし、真白入るぞ」


「早くいけよ。周りからジロジロ見られて居心地悪い」


敦弥の片思いを応援すべくやって来た1年の教室。


なかなか教室に入ろうとしない敦弥を見てると、本気なんだなと少しだけ関心する。


「敦弥先輩!来てくれたんですね」


教室に入るとすぐ、1人の女子生徒が敦弥に気付いて近付いてきた。


「紫乃ちゃん」


敦弥の口から出た紫乃(しの)という名前。


その子の名前を呼ぶ敦弥の声は、俺が今まで聞いた中で1番優しいものだった。


「隣の方は友達さんですか?」


「うん。真白」

「こんにちは」

一応挨拶をすると、彼女は驚いた顔で俺を見た。


……何その反応。