思いに乗せて~大好きな人~

「そこまで言うなら父さんにだって考えがあるぞ」

そう言うと親父は席を立った。
多分何かを取りに行ったんだろう。

「ちょ、龍也。
お前素直に親父の言うことに賛成すれよ」

小声で俺に囁く拓夢。

「俺は大人の引いたレールの上を進むのは嫌なんだ。
俺の人生だし」

「はっ...お前らしい」

当然だ。
いくら育ててくれた親とはいえ成人してからの人生まで委ねる必要はない。

俺らの話を聞いていた母さんがキッチンから出てきた。

「ごめんなさいね、龍也。
お父さん、優秀な医者の子供が不優秀なんて思われたくないみたいなの。」

「うん。」

「拓夢は、まだその時は自分でやりたいこととか進むべき道が無かったから、お父さんの意見にすんなり賛成したけど...
龍也にはもう、自分の道が決まってるものね」

「あぁ。」

「ちょ、母さん。
俺が何も決めてないみたいじゃん!」

「あら?だって拓夢には龍也みたいに大切な人がいないでしょう?」

親父には言ってないけど母さんには美緒との関係を伝えてある。

「まぁ、そうだけどさw」

「ふふ。まぁ、そのうちできるわね。

だから、私からもお父さんに話してみるから。」

「ありがと、母さん」

「えぇ。でもお父さんも悪気があったりしてる訳じゃないってことわかってね?」

「うん」

そういうと母さんはキッチンへと戻ってった。

それと入れ違いになるかのように奥の深い廊下から親父が出てきた。

その親父の手には大量と言っても過言ではほどの資料が乗せられていた。

ドサッと重たい音を立てながらテーブルに置かれた紙たち。

一番上の資料の表紙を見ると
【○○教育専門学校~パンフレット~】
などの文字が。

ふーん。親父の病院で働かないならそれなりの大学に行き、それなりの職につけ。ってか

「この資料は全て目を通しておけ。
こっちで働かないとなると、立派な大学を卒業し立派な仕事について貰わないとこっちもお前も困るぞ」

資料の上に手を置き、訴える親父

俺は親父の奴隷かよ...

「俺は、普通の大学を卒業して普通の職について普通の生活を送りたい」

「...この私の子供に生まれた以上それは不可能と考えた方がいい。

息子が暴走族ってのも隠し通すの、かなり苦労してるんだ。

もしバレて病院の評判が悪くなったらどうする?

それに、バレなかったとしてもその院長の息子が立派な仕事についていない平凡な奴っていう事が広まるより、立派な職につき安定した生活を送っているという話が広まった方がこの病院の評価を上げることにもつながるんだ。」