―――ザッ…、ザザザッ…―――


闇夜の中でこの地に近付く足音が聞こえる。五…十……、十三人。しかもこの気配は、旅人やお伽話団の者じゃない。正真正銘の同業者。

狙いは俺か…、はたまた富を持つ者か…。



「休暇ぐらい…、仕事のことは忘れさせてほしいのに…」


同じようにして闇に溶け込み、気配すら絶ち、その中に紛れ込んだ。それが出来たということは当然、富を狙う。

条件もいいことに、月の光が雲によって遮られ、闇がより一層濃くなっている。この村にはあの屋敷以外照明を持たないために、路上を翔けるのも苦ではない。

屋敷から一定の距離に一時待機すると、そこでばっと分散して配置をとった。

(忍びか、あるとすれば、『幻夢』か『迷霧』。だが、聞いた話では三人か四人のはず。これだけの数、合併しても足りない…)


ばっと、瞬時に建物に入った瞬間、照明が全て消えた。暗闇の中で、その気配は感知できても追うことは、警備誰ひとり出来なかった。



(こいつらの狙いは…)