月の光に照らされて

ベンチに腰を下ろすとはぁっとため息を遠くを見た。あぁ…、そうかとぐったりと頭を下げる。



御飯の支度が済んだのか、マキが外に出て呼びに来た。今日は断らず食堂に行くと、いいニオイが漂う。


「ほら、座って」


子供達の間に一つ空いた席が少年の席だと指差し、少年が席に座ると一斉に「いただきます」の声が飛び交い、子供達ががむしゃらに並べられた食事を口に運ぶ。壮絶なる戦いが少年を驚かせた。

圧倒されて手がでない少年にユナが少しだけ皿にとった食事を少年の前に置いた。


「ほら…、手を出さないと食べられないよ」

「そのようだ…」



少しだけ見せた微笑みの後に、渡された食事を口に運ぶ。これが、料理というものかと安心して手をつけられる食べ物。こんな賑やかなのは初めてだろう。

食事が済むと、この場にいるのが疲れた様子で外に出て、瞑想するように心を落ち着かせて自分の世界に戻ろうと眼を閉じた。