まだ夜が明けたぐらいで、少年は目を覚ました。寄り掛かってくる重みを感じながらも、空を見上げると、まだ青が色付く前の空一面が目に映る。

重みの感じる右を見ると、スースーと小さな寝息をたてて心地よく眠る少女が恋人かのように寄り添う。どかすにもどかせない状況に頭を掻きながら、ふぅと一息つく。



こんなことは初めてだ。女とは接しづらいな。どう接していいのかわからない…。今まで、戦いが終われば牢獄に閉じ込められ、また戦いを…。


牢獄からの解放が、唯一自分が人としていられる時間。戦争だけが…、結局兵器だということは変わらない。



「俺は…、なんでこの世に生まれたのだろうか」

「………ぅん?」



目を擦りながら、フワーッと大きな欠伸をしながら背伸びする少女。聞かれたかと内心だけはびくびくしていたが、少女の顔にはまだ寝起きが伺え、今まで少年の隣で寝ていたのにも気付いていない。


「ようやく目を覚ましたのか。重かったぞ」


少年は立ち上がり、重みを受け止めていた肩を何回か廻して少女の方を向いた。へっとしている彼女の顔はだんだんと赤身が増して、顔を背けた。彼女の頭の中には男の隣で寝ていたというものと、寝顔を見られたという恥ずかしさが浮かんでいるのだろうが、少年は全く気にしていない。



「ね…ねぇ、これはなんでもないからね。へ…変な風に、と…とらないでよ」

「ん?変な風にとは?」



かーっと一気に赤身が増したのか、急に走って家の中に入っていってしまった。取り残された少年には何が何だかわかっていない。