どこに行けばよいものか…。この足枷がある以上、街には近付けない。それに男がこの戦場にいないというのも考えられず、軍に報告がいく。

やはり、あそこに滞在するのが不便ではないかもしれない。戻るか…。戦場になるとはいえ、あそこに広がるまで街一つ挟む。煙があがってからも逃げるのは遅くない。



半日も歩いていないが、彼は行く当てもなく歩いていた道を、長家に向かって戻り始めた。重そうに見えた足枷はもう慣れたのか、歩く速さが上がっている。



――ガチャンガチャン…、鎧の音が聞こえる。鎧はシルバーに、肩には国旗が描かれ、胸には珠がはめられ、それはしかも兵の立場を明かす上級な黄白のもの。遠目からみてもわかる兜の形は、今最高峰に達つ職人が造る最強の兜。



さっと道から外れて雑草に隠れて過ぎていくのを待つ。


「小一隊か…、戦場ではあまり人を減らせなかったんだな」



見えなくなった頃、道に戻り警戒しながらも歩みを進めた。