―――あれから五年……


出会わなければ、この苦しみを味わう必要はなかったのかもしれない。

初めてみた光の輝き。初めて感じた光の温もり。初めて、自分が居たいと想う場所。

そんな想いが心に残ったからこそ、またこの地に来た。その想いがあるからこそ、それを忘れる苦しみが心を締め付ける。

非道な殺し屋は、その心が反応すると一瞬の躊躇に冷汗を流す。そして、刀を迷わず振り下ろすのだ。


「闇は…、光に近付けない…か」


夜の空に浮かぶ、大地を照らすあの月のように、ほんのりと、それでも美しくて、それだけを見ていたくて、触れたいとそう願っても近付く事が出来ない哀しみに落ちて…。