* * *


「こんなところで何をしているの?フェイ」


あれから幾年が経ったのかと、夜に浮かぶ月を見上げながら想い更けていた。

闇から手を引くのに時間が掛かり、彼女にすら危険を及ぼしていたはしたが、彼女の信じる心が二人の糸を頑なに結んでいたのはいうまでもない。

そして、闇を退けられたのもまた、彼女がいてくれたおかげだと、フェイは思う。彼女がいなければ深淵の闇に埋もれ、我を亡くし戦い続けていたはずだ。


「昔を…、思い出していただけだ。君と、永遠の契りを結んだあの時を…ね」


たまに喧嘩はするが、すぐに仲直りしてしまう二人に、周りは至極感心し、夫婦円満というのはこういうものかと頷ける。理想の家族風景が、そこにみえてならなかったのだろう。


「フェイでもそんなことあるんだね。さっきの喧嘩が原因かね?」

「まだ怒ってるのか?」

「そうだな〜、いつものしてくれたら…」




月の光に照らされた二人は、顔を近づけて…。


そして………。






END