昔の思い出にふけながら、村に入った。前よりは栄えたのか、家の造りが小屋のようなものではなく、丈夫な煉瓦で組み立てられた、強風でも崩れない構造になっている。

一番奥には、富を得たものの別荘か、豪華で立派で、誰もが憧れる屋敷がそこにはあった。

だが、屋敷には不届き者が入れないよう、警備の者が張り付き、誰も近付けないよう護られていた。彼がここに来た理由もそこにある。

だが、当然警備に止められ、通せん坊をくらう。


「……ヘンリー氏に、フェイが来た…、そう伝えてくれ」


そう言うと、彼はまた来た道を戻り、村の外で木陰の下で目を閉じた。