それから数日後―――


取引先の社長ケン・リマー氏と、その息子バーリュ・リマー氏がやってきた。一般人には持つことのない車で、村の中で一際目立つ存在でやってきた。


「お待ちしておりました、リマー社長」

「なに、次の行き先の通り道なだけだ。それでだが…話されたお嬢さんはどちらに?」

「仕度をさせております。広間の方に案内しますので、そちらでお話でもして…」

「そうだな、そうしよう」



二人の前に立ち、家の中に招き入れる。入ると執事のグラウンが頭を下げて迎え入れ、そこから先はグラウンが先頭に、広間へと向かった。



その頃のミルはというと、嫌々になりながらも、使用人に化粧をしてもらい、じっとしている。

準備を終えると使用人と共に広間へと向かい、話の盛り上がる輪の中に混ざった。


フェイは遠目ながらも、庭に大きく伸びる大樹の上からその時を見守っていた。