「俺に…、何か用か?」


道を塞ぐ三人の者が、一人の男を待ち受けていた。その男の噂を知らないものはいない。闇の住人ならば、より詳しく知っているはずだ。

闇の世界での名は刹那。闇の世界にいる人間を、葬る殺し屋。ある組織に身を置いてはいたが、忽然と姿を消した。組織の人間は直ぐに捜索をさせた。


「戻れ、刹那」

「黒狼の噛ませ犬か。見逃してやるから、眼の前から消えてくれ。さもないと…、地獄に堕とすぞ!」


邪悪な気が彼の周りを取り巻く。並の人間が対峙すれば、悪魔のように見え、恐怖に戦くだろう。

三人には汗がとめどなく溢れ出し、それは一瞬に乾く。


「連れ戻せと降っただけだ。力付くでやろうとは思ってない。

ただ、場所だけは報告させて戴く」

「奴に、依頼があるなら手紙を送れと伝えろ。反逆するつもりはない、ともな」



忍者のようにぱっと影のように消え、気配も一瞬にして遠のいた。