「あーぁ、
花火に負けるなんてな。」
俺の声が聞こえたのかゆなは『なんか言った?』と振り向く。
「なんもねーよ。」
ガキみたいに騒いでる姿は、
いつもと全然変わんない。
無邪気に笑う姿も、全部。
ただ、花火を観るその横顔は、
やっぱり少し大人びていた。
旅館までの帰り道、慶太とリンさんがふたりで顔を赤くして立ち止まっていた。
慶太もあの性格で、
なんだかんだヘタレなんだ。
ゆなと顔を見合わせて微笑むと、ふたりでそのまま手を繋いで帰った。
一応、気を使ったつもりなんだけど。
あのあと慶太は「なんで先に帰ってしまうんやっ」と涙目ですがりついてきた。
