『あの、ね‥
お礼言っておこうと思って。』
お礼?
なんか俺、したっけ?
頭に?マークを浮かせた俺にゆなは、小さな声で話し始めた。
『慶太さんが旅行行こうっていったとき、隼人くん嫌だって言ったでしょ?』
あぁ、つい昨日の話じゃん。
でもそれがどうかしたか?
「そういや、そうだな?」
確かに最初は、
全然乗り気じゃなかった。
夏休みでも家には好きな奴がいるんだし、それで十分って思ってた。
しかもゆなが、
迷子になりそうな気がしたし。
『なのに私の我がまま、
聞いてくれてありがとう。』
ゆなはそう言って、
俺の顔を覗き込んだ。
ヤバい‥俺、
これにかなり弱いかも。
