パンプスとスニーカー

 それ以外には快くおいでと招いてくれたから、それだけでもありがたい話ではあったけれど。




 「あらあら」




 武尊の祖母の声に、彼女の視線の先をひまりも追う。




 「あ、シール」

 「すごく喜んでいたのに、忘れていってしまったのね」




 振り返った先、かなり先へと行ってしまっていたが、親子の後ろ姿がある。


 スクッ!




 「ひまりさん?」

 「あたし、行ってきます」

 「え?あら…」




 隣のベンチの足元に落ちていたシールを拾い上げ、親子連れの下へと一気に猛然ダッシュをかける。




 「すみませ~~んっ!!」




 だが、しかし―――、


 バタバタバタバッ、ズルッ、コケッ―――ッ!!




 「きゃっ!!」

 「ひ、ひまりさんっ!?」




 ひまりの声に呼びかけられた親子連れが振り向いた瞬間、ひまりが大きく前のめりにつんのめって、タイルの床へと大の字に転がった。


 ズベシャッ。


 ガッツン。




 「ぐっはぁっ」




 シ~~~~ン。


 …………。


 …………。


 …………。


 打ち付けた膝と…沈黙が痛くて顔が上げられない。




 「だ、大丈夫ですか?」

 「だ、だいひょうぶ、れすっ!」




 …ふ、不覚。





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