パンプスとスニーカー

 「やった!ママ、ブシニャンの大吉が入ってたよ」

 「あ、本当だ。ママが頑張ってケーキ食べたおかげでしょ?」

 「ええっ~、本当はママがケーキ食べたかっただけじゃん」

 「なんだとぉ」

 「あははは」




 隣のベンチに座っている親子の微笑ましい会話に、ひまりがつい視線を向ければ、男の子がシールを片手にはしゃいでいる。


 …なんだか、懐かしいな。


 そんなことを思っていた。




 「可愛いわね」




 どうやら武尊の祖母も、そんな親子を眺めていたようだ。




 「本当ですね」

 「ひまりさんも、子供が好きなの?」




 そういう老婦人の目は優しく細まり、温かな光を浮かべている。


 彼女こそ、子供が好きなのだろう。




 「そうですね、あまり意識したことがなかったけど、小さな子と遊ぶのは嫌いじゃなかったかも」




 いかにも純朴そうなひまりの意外な言葉に、武尊の祖母が首を傾げた。


 てっきり、子供が大好きだ、そんな答えを予想していたのかもしれない。