パンプスとスニーカー

 ひどい言われようだが、心当たりがありすぎる。




 「ああいう子…ひまりちゃんみたいな子を選ぶ甲斐性があったんだって、ホッともしてるけど、あんたってマザコンじゃない?」

 「…誰が、マザコンなんだよ」

 「マザコンでしょ?年上の大人な女や、それに近い女ばっかり好んで付き合って、不倫は今までなかったみたいだけど、私の同級生とまで付き合ってたことまであって、あれはさすがに驚いたわ」




 痛い記憶だ。


 マザコンは勘弁して欲しいが、シスコンは自覚している。


 手のかかる妹タイプは苦手で、甘やかしてくれて世話を焼いてくれる姉タイプに昔から弱かった。




 「もういいだろ、過ぎた過去のことは。もう、行こうぜ。おばあさまたちも待たせてるんだから、こんなところでいつまでもグズグズしてられないし」

 「そうね。ただどちらにせよ、おばあさまを悲しませるようなことはないようにしてよ」




 それを言われるとかなり辛い。




 「じゃあ…」

 「あっ!」




 ヤバイことが飛び出さないうちにと、姉を置いてさっさと退散しようとした武尊の後ろから、一佳の声が再びかかる。


 彼女を無視して置いて行きたいころだが、そこがシスコンゆえの哀しい習性か振り返られずにはいられない。




 「なんだよ」

 「いいかげん、あんた。ひまりちゃんのこと、‘むとぴょん’とかいうのやめなさいよ。大の男が恥ずかしい」

 「だよな」




 もっともな忠告だと、武尊も大いに頷いた。




*****