パンプスとスニーカー

 食事が終わり、武尊が会計を済ませると、時間的にもちょうどよい頃合。


 一応、祖母たちを家まで送り届ける算段から、武尊はアルコール類を一切口にしていなかったから、特に酔い醒ましの必要もなかった。




 「俺、ちょっとトイレ行ってくる」

 「あ、私も、お化粧直ししてこようかしら。ひまりちゃんはどう?」

 「えっと、私はとりあえず大丈夫です。おばあさまは?」

 「私もいいわ。もう少しひまりさんとお話したいから、そこの椅子で一緒に待っていましょうか」

 「はい」




 仲良きことは美しかな。


 厚顔な自覚のある武尊にしても、そんな祖母とひまりの様子にチクリと胸が痛む。


 …だからって、いくらおばあさまが気に入ったにしても、それだけで武藤さんを彼女に…ってわけにもいかないしな。


 人間できることとできないことがある。


 人間的にひまりには好意を持ったが、『女』としてはまた別の話だ。


 用を済ませてトイレを出ると、意外なことに姉の方が先にトイレを出て、武尊を待ち伏せていた。