パンプスとスニーカー

 妹が欲しいとも思ったこともないが、それでも妹というのはこういう感じなのかも知れないと思わなくもない。




 「いいって、武藤さん、思いっきり欲しそうだし?」

 「うっ、バ、バレてた?」

 「マカロン好きなんだ?」

 「…というか、実は初めて食べるの。前々から美味しそうだなぁとは思ってたんだけど、これってかなり高いお菓子じゃない?」




 いかにも苦学生なセリフだ。


 それでもそこには卑屈な響きはない。

 ただ、気恥ずかしそうに武尊や、祖母たちを見回し照れ笑いをしているのが微笑ましい。




 「良かったら、私のも食べる?」

 「私も、手伝ってもらおうかしら」




 一佳や祖母の申し出には、ひまりも恐縮して断っている。




 「いえいえいえ」

 「さすがにコースは私の年ではキツイし、食べ物を残すのは私の流儀ではないから、武藤さんが美味しく食べてくれたら、とても嬉しいわ」

 「私もダイエット中だし」




 祖母の言い分はともかくとして、ダイエット中の女がコース料理をわざわざ食べに来るのかと、武尊の目が胡乱に姉を見れば、それに気がついた彼女に小さく歯を剥かれ威嚇されてしまった。


 自分のプチフールに続いて、武尊のプチフール、遠慮しつつも重ねて進められて、祖母や武尊の姉のプチフールもやはりひまりはホクホク顔でペロリと平らげる。


 「ご馳走様でした」